2014年9月22日月曜日

膀胱を覗いたらキューブリックと出会った話(2)



尿道に管を通す。男子諸君ならこの響きの持つ破壊力は想像に難くないだろう。街行く人々に揉まれながら、下半身に危機の迫っていない全ての一般男性を恨めしく思う。お腹の下がキュンとする感覚と付き合いながら、一週間はあっという間に過ぎていった。

検査当日。まずはMRI検査を受けるために病院の最深部である地下3Fへ。普段目にすることの無いバイオハザードみたいなマークにテンションが上がる。ただ、強い非日常感は自分の身体への不安感もつのらせてしまう。そんなことを配慮した結果だろうか、更衣室の鍵にぶら下げられたマイメロちゃんは、どこかおどけた表情をしていた。


「膀胱に尿が溜まりきっていない」というトラブルで順番が前後した(係の人が女性だととても恥ずかしい)ものの、ほかは特に問題なく検査が終わる。検査中は大きな音がするので耳当てを着用させられるのだが、部屋の片隅から終始原住民っぽいリズムが聞こえていたのが気になった。

いよいよである。再びひっそりした泌尿器科受付に向かう。カーテンで仕切られた区画に通されると、まずは着替えを命じられた。下半身すっぽんぽんになったのち、検査用トランクスなるものだけを着用する。このトランクス、焼き肉屋で使う紙エプロンのような質感でフワッとした履き心地なのだが、前方の股間部分がバックリと開かれており、そこから息子がHello World状態になっているというシロモノだった。


続いて座らされた検査用のイスも特殊な仕様である。上の写真の状態から更に両足が左右に開かれ、最後はお尻がもう一段階下がって準備完了。この体勢を再現してみれば分かると思うが、コレがめちゃくちゃ恥ずかしい。自分の最大の弱点をさらけ出している上、これから何をされても抵抗できないという事実を実感させられ、ひどく羞恥心を抉られる思いだった。

2014年9月18日木曜日

膀胱を覗いたらキューブリックと出会った話(1)


僕は血尿持ちだ。

排泄する尿に血が混じる、というアレである。高校3年生のときの尿検査で初めて血尿だと診断された。正常値が(-)であるところ、異常値である(+)を通り越していきなり(3+)を叩き出した。柔道こそやっていたもののそれまで兆候は無かったので、突然の出来事にビックリしたのを覚えている。

すぐさま再検査を行ったが、またひっかかったので保健室に相談に行く。ぱっと見では異常が分からないとのことで、知り合いの医者を紹介してもらった。何度か通ってエコー検査(男の先生がヌルヌルしたゼリーのようなものを下腹部に優しくすり込んでくれる)までしたものの、いまいち原因が分からないとのことで次第に足が遠のいてしまった。

そして3年の月日が流れる。

大学生になったところで、半年に一回の健康診断では相も変わらず血尿と判断される。ほかに身体に不具合は無いし、ただ血が出るという体質であると決め込んで精密な検査を行おうとはしなかった。しかし、大学4年への進級を間近に、「身体検査で異常が出た学生は、しっかりと医者の検査を受けないと体育の単位を申請できない」という大学の心温まる配慮が立ちはだかった。普段はキャンパスを24時間開けっ放しで不健全極まるのに、こんなときだけ常識人ぶっている。許せない。とはいえ、体育で留年なんてまっぴらなので、夏休みを利用して病院に向かうことにした。




内科での採血・蓄尿検査(一日に出る尿を全て貯めてその量と成分を測るというもの。僕は1600ml出たので愛飲している健康ミネラル麦茶の2L容器が埋まりかけた)や再びのエコー検査が終わったものの、やはり精密検査が必要だということで泌尿器科に回されることになった。

泌尿器科なんて初めて行く。尿結石を粉砕する超音波装置のチラシが物々しすぎて少し笑いそうになったが、周囲にいる患者さんたちも各々シモに問題を抱えているのかと思って神妙な気持ちになった。

先生の決断は早かった。「MRIと膀胱鏡検査をしましょう」とのこと。MRIってあれか、あのトンネルみたいな未来っぽいヤツ。大掛かりな検査に興奮しかけたが、はてもう一つの膀胱鏡検査が気になるぞ。


手渡された紙に目を通す。「この検査は、尿道に内視鏡を挿入し、膀胱、尿道の状態を観察するものです。女性の場合はほとんど痛みはありませんが、男性の場合は尿道の構造から、多少の痛みを伴うので、尿道内にゼリー状の麻酔剤を注入し、尿道表面を麻酔して行います。」

...大変なことになってしまった。ソワソワが止まらない。無理が通れば道理が引っ込むと言うが、それは尿道の話ではない。引っ込むのはこちらの息子だ。通るハズが無い。やめてくれ。やめて下さい。どうにかなりませんか先生。助けて。あの、先生?

そして、検査は翌週行われることになった。